不登校のサインとは?子どもが「学校に行きたくない」と言う前に現れる5つのSOSと家庭でできる対処法を精神科医が解説
この記事は、当院のYouTube動画「【不登校】子どもが「学校に行きたくない」時の5つのSOSサインと対処法【精神科医が語る】」の内容をもとに、読みものとして再構成したものです。ここで紹介するサインは、お子さんの状態を決めつけるためのものではありません。
不登校とは、文部科学省が調査で用いている定義では、病気や経済的な理由によるものを除き、心理的・情緒的・身体的あるいは社会的な要因や背景によって、年度間に30日以上学校を欠席している状態を指します。江東区・亀戸のひびきメンタルクリニックには、その手前の「行き渋り」の段階でのご相談も寄せられます。
はじめにお伝えしたいこと 文部科学省の調査では、小・中学校の不登校の児童生徒数は増加傾向が続いていると報告されています。学校に行きづらくなることは、特定の家庭やお子さんだけに起こることではありません。当てはまる項目があるからと「不登校だ」と判断するためではなく、早めに気づいて相談につなげるためのヒントとしてお読みください。
5つのSOSサイン 早見表
当てはまれば不登校になるというものではなく、変化に気づくための目安です。
| SOSサイン | 見分けのポイント |
|---|---|
| 1. 学校の日だけの頭痛・腹痛 | 週末や長期休みには出にくい |
| 2. 急激な成績の低下 | 多くの科目で同時に、急に下がる |
| 3. 食欲不振や過食 | 食事の量や時間帯が以前と変わる |
| 4. 学校の話をしなくなる | 以前は話していたのに急に話さない |
| 5. 夜更かしが増える | 就寝・起床の時刻が後ろにずれる |
不登校とは、どのような状態を指すの?
不登校とは、病気や経済的な理由以外の要因で、年度間に30日以上学校を欠席している状態を指すとされています。
日数はあくまで統計上の区切りです。30日に満たなくても、朝に動けない日が続いているなら十分に困っている状態といえます。不登校は病名ではなく「状態」を表す言葉で、原因を一つに絞れないことが多いと考えられています。
学校に行きづらい子どもに現れやすい5つのSOSサインとは?
学校の日だけの頭痛・腹痛、急な成績の低下、食欲の変化、学校の話を避ける、夜更かしの5つが挙げられます。
動画では、「学校に行きたくない」と大人に打ち明けるときには、すでにストレスが最終段階まで来ていることが多いと説明しています。だからこそ、その言葉が出る前の変化に気づけるかどうかが大切になります。
1. 頭痛や腹痛が、学校の日に限って起こる
風邪や疲労であれば週末や休暇中にも同じ症状が出るはずですが、学校に行く特定の日だけに限られる場合、心理的な不安が背景にある可能性があるとされています。痛みは本人が実際に感じているものなので、まず体調として受け止めることが大切です。
2. 急激に成績が落ちる
一度に多くの科目で急激に成績が落ちる場合、学習面の不得手や注意の散りやすさというよりは、ほかに何か深刻な問題が潜んでいるサインかもしれないと指摘されています。
3. 食欲不振や過食が見られる
ストレスが高まると、朝食を食べない、お弁当を残すなど食欲が落ちることも、逆に過食として現れることもあります。食欲不振は栄養やエネルギーの不足につながるとも説明されています。
4. 学校について語らなくなる
自尊心を保ちたい、親を心配させたくないという気持ちから、学校で問題があっても何も言わない選択をするお子さんが多いと動画では話しています。
5. 夜更かしをするようになる
ストレスから夜に寝つけなくなると、朝起きるのもつらくなります。寝不足を放置すると、うつ病などの不調につながる可能性もあるため注意が必要とされています。睡眠については「眠れない夜にできること」もご覧ください。
子どもが学校に行きたくなくなる背景には何があるの?
勉強のプレッシャー、友人関係やいじめ、先生との関係など、学校という環境の複数の要因が重なることが多いとされています。
- 進学・クラス替え・転校など、環境が変わったタイミング
- 家庭の状況の変化や、ご家族自身の疲れ
- 感覚の過敏さや集団行動の苦手さなど、発達特性による困りごと
- 睡眠リズムの乱れや、体調不良の長期化
発達特性が気になるときは「発達障害(ASD・ADHD)の特性とは?」も参考になります。
家庭でできるセルフチェックはありますか?
日常の様子を振り返る項目はありますが、これは診断ではなく、相談のきっかけを見つけるための目安です。
- 学校のある日の朝だけ、頭痛や腹痛、吐き気を訴えることが増えた
- 提出物が出せない日が続き、複数の科目で成績が急に下がった
- 食事の量や時間帯が、以前と明らかに変わった
- 学校や友だちの話題になると、話をそらすようになった
- 就寝時刻が遅くなり、朝起きられない日が増えた
- 休日は元気なのに、日曜の夜から様子が沈む
サインに気づいたら、家庭でどう対応すればいい?
話に耳を傾け、「休んでもいい」と伝え、必要に応じて専門家に相談する——動画ではこの3つを現実的な方法として挙げています。
1. 子どもの話に耳を傾ける
じっくり聞く姿勢は、お子さんが気持ちを話しやすくなり、信頼関係を築く助けになります。「どうして」とすぐ理由を問いただしたり、「今日1日だけ我慢して行きなさい」と解決策を押し付けたりするのは避けたいところです。
2. 「学校を休んでも大丈夫」と伝える
無理に行かせるよりも、休んでもいいという選択肢を示すことが安心感につながります。ただし、ご家族が不安や怒りを感じているとお子さんはそれを敏感に察し、自分を責めたり心を閉ざしたりすることもあります。まずはご家族自身が不安を見つめ、穏やかに接することが大切だと動画では伝えています。
3. 専門家に相談する
ご家庭だけで解決しようとせず、専門家に相談することも選択肢です。相談することに罪悪感や恥ずかしさを感じる必要はありません。訴えの背景に、心理的な問題や精神的な不調が関係していることもあるためです。
医療機関に相談する目安と、どんな相談先があるの?
体調不良や気分の落ち込みが続き、生活に支障が出ているときが一つの目安です。学校・自治体・医療機関に窓口があります。
- 体の症状が繰り返し、日常生活に支障が出ている
- 気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続いている
- 眠れない、朝起きられない状態が続き、昼夜が逆転している
- 食事量が大きく減り、体重の変化が見られる
- 「消えてしまいたい」といった言葉が出る(早めにご相談ください)
相談先には、学校の担任・養護教諭やスクールカウンセラー、各自治体の教育支援センター(適応指導教室)・教育相談の窓口、医療機関(小児科、心療内科・精神科)などがあります。ご家族だけで考え込まず、一度どこかに相談してみることが大切だと動画でも伝えています。
不登校と間違えやすい状態には何があるの?
朝起きられない起立性調節障害や、発達特性による困りごと、うつ病や不安の症状が背景にあることもあると考えられています。
| 状態 | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 起立性調節障害 | 朝起きられず午後から回復する。日本小児心身医学会のガイドラインに診療の考え方が示され、小児科での相談が勧められています |
| 発達特性による困りごと | 学校以外の場面でも似た困りごとが見られる |
| うつ病・不安の症状 | 休日も元気が出ない状態が続く |
見分けはご家庭だけでは難しいため、気になるときは医療機関にご相談ください。あわせて「適応障害とうつ病はどう違う?」「うつ病の初期サインとは?」もご覧ください。
よくある質問
「学校に行きたくない」と言われたら、休ませてよいのでしょうか?
無理に行かせるよりも、休んでもいいという選択肢を伝えるほうが安心感につながると考えられています。生活リズムを大きく崩さない工夫をしながら、話せるタイミングを待つ形が現実的です。
理由を聞いても「わからない」と言われます。どうすればいいですか?
お子さん自身も言葉にできていないことが少なくありません。問いただすよりも、話してくれたこと自体を受け止めて見守るほうが、結果として話しやすくなるとされています。
相談するのは、不登校になってからのほうがよいですか?
そうとは限りません。学校や自治体の窓口の多くは、欠席が続く前の段階でも相談を受け付けています。早い段階で相談することで、選べる対応の幅が広がることがあります。
子ども本人が受診を嫌がります。家族だけで相談できますか?
ご家族だけのご相談をお受けしている窓口もあります。当院でも、ご家族からのご相談をお受けしています。お子さんの年齢やご状況によっては、児童精神科など、より適した相談先をご案内することがあります。
まとめ
- 「学校に行きたくない」という言葉は、ストレスが積み重なった段階で出てくることが多いとされています
- 5つのSOSサイン(頭痛・腹痛/成績の低下/食欲の変化/学校の話を避ける/夜更かし)は、変化に気づくための目安です
- ご家庭でできることは、耳を傾ける・「休んでもいい」と伝える・専門家に相談する の3つです
- 起立性調節障害や発達特性が背景にあることもあるため、続くときは医療機関にご相談ください
江東区・亀戸のひびきメンタルクリニックでは、心療内科・精神科として、不安や気分の落ち込み、睡眠の悩みなどのご相談をお受けしています。お子さんのことでお困りのご家族も、気になることがあればご相談ください。