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人間関係リセット症候群とは?SNSを突然削除してしまう心理と3つの改善策を精神科医と公認心理師が解説

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人間関係リセット症候群とは?SNSを突然削除してしまう心理と3つの改善策を精神科医と公認心理師が解説
この記事でわかること

この記事は、当院のYouTube動画の内容をもとに、精神科医と公認心理師の対談を書き起こし・再構成したものです。連絡先やSNSアカウントを突然消してしまう「人間関係リセット」について、その背景にある心理と、日常でできる工夫を、できるだけやさしくお伝えします。

はじめにお伝えしたいこと 「人間関係リセット症候群」は、医学的な正式名称ではなく、近年SNSなどを中心に使われるようになった言葉です。当てはまるからといって、病気であると決めつけるためのものではありません。また、人間関係を整理すること自体が悪いわけでもありません。この記事は、なぜリセットしたくなるのかを理解する手がかりとして、その背景にある気持ちの動きを一緒に見ていくことを目的としています。

ひびきくん
解説役の「ひびきくん」です。「なかったことにしたくなる気持ち」を、一緒に見ていきましょう。

この記事でわかること

  • 「人間関係リセット症候群」と呼ばれる状態と、その具体的な行動
  • リセットしたくなるときに働きやすい、6つの心理的な背景
  • 繰り返すことで生じやすい影響
  • 今日から試せる3つの工夫と、専門家に相談する目安

「人間関係リセット症候群」とは

「人間関係リセット症候群」とは、それまで築いてきた人間関係を、衝動的に断ち切ってしまう傾向を指す言葉です。医学的な診断名ではなく、現代の心理状態を表す言葉としてSNSなどで使われるようになりました。

具体的には、次のような行動として表れることがあるとされています。

  • スマートフォンの連絡先やLINEの友だちを、まとめて消してしまう
  • SNSのアカウントを突然削除する、あるいは連絡を絶って音信不通になる
  • 人間関係だけでなく、急に仕事を辞めるという形で環境ごと変えてしまう

背景にあるのは、人付き合いに強いストレスや疲れを感じ、「もう全部いいや」という気持ちから、つながりそのものを断ってしまう状態です。

なお、環境の変化にあわせて付き合う相手が変わっていくことは、誰にでもある自然なことです。ここで取り上げているのは、自分でも意図しないまま衝動的に関係を切ってしまい、あとから困ってしまう、という繰り返しについてです。

ひびきくん
「切りたい」の裏側には、いろいろな気持ちが隠れていることがあります。

リセットしたくなる背景 早見表

#背景よくあるこころの動き
1対人関係への不安・恐怖話し合って衝突するくらいなら、関係を切ったほうが楽だと感じる
2現代の環境転職や引っ越し、SNSの整理などで、関係を切り替えやすくなっている
3孤独と抱え込み本音を相談できる相手がおらず、助けを求める前に距離を置いてしまう
4ネガティブ思考「どうせ解決できない」と先回りして考えてしまう
5完璧主義人間関係にも理想を求め、少しのずれで最初からやり直したくなる
6見捨てられ不安「どうせ最後は離れていく」と感じ、傷つく前に自分から離れる

それぞれについて、以下で詳しく見ていきます。

背景1:対人関係への不安や恐怖

人間関係の中で誤解されたり、責められたりした経験があると、次に同じ場面が来ることへの不安が強くなることがあります。その結果、相手と話し合って解決するという選択肢よりも、関係を終わらせるほうが安全に感じられることがあると考えられています。

本人にとっては、逃げているというより「これ以上傷つかないための方法」として選ばれていることが少なくありません。

背景2:関係を切り替えやすい現代の環境

転職や引っ越しのハードルが以前より下がり、連絡手段の多くがSNSに移ったことで、人間関係を物理的にも心理的にもリセットしやすい環境になっているといわれています。

アカウントを1つ消すだけで、多くのつながりが一度に途切れてしまう。この手軽さが、衝動的な行動を後押ししてしまう面もあると考えられています。

背景3:孤独と、一人で抱え込む状態

困ったときに本音を話せる相手がいないと、トラブルの負担をすべて一人で背負うことになります。そのため、誰かに助けを求めるという選択肢が浮かばず、関係そのものを断つほうへ向かってしまうことがあります。

背景4:ネガティブに考えやすい状態

気持ちが疲れているときほど、「話しても伝わらない」「どうせ解決できない」と、先回りして悲観的に考えやすくなることが知られています。実際にはまだ起きていないことでも、悪い結末を確信してしまい、その前に関係を終わらせてしまうことがあります。

背景5:完璧主義

物事をきちんとやりたいという気持ちが、人間関係にも向くことがあります。「良い関係でなければ意味がない」と感じると、小さなすれ違いや失敗があっただけで、その関係全体が失敗したように思えてしまい、0からやり直したくなることがあると考えられています。

背景6:見捨てられることへの不安

過去のつらい経験から、「どうせ最後は自分が見捨てられる」という不安を強く持っている場合があります。この場合のリセットは、相手を拒絶しているというより、自分が傷つく前に先に離れておくという、防衛的な行動として理解されることがあります。

ひびきくん
背景がわかると、「自分が悪いから」以外の見方ができるようになります。

リセットを繰り返すことで生じやすいこと

関係を断つことで、その場のストレスからは一時的に解放されます。ただし、繰り返すうちに次のような状態につながることがあるとされています。

  • 頼れる人が周りにいなくなり、孤立しやすくなる
  • 孤独な状態が続くことで、不安や気分の落ち込みにつながることがある
  • 自分を否定的に捉えやすくなり、さらに人と距離を取りたくなるという循環に入りやすい
  • 嫌なことがあっても関係を続ける中で身につく「適度な距離の取り方」や「トラブルへの対処のしかた」を、経験する機会が少なくなる
  • 転職を繰り返してキャリアが安定しない、家族や友人と疎遠になるなど、長い目で見て困りごとが増えることがある

これは「リセットした人がこうなる」という意味ではありません。同じパターンを繰り返して苦しさが続いている場合には、一度立ち止まって考えてみる価値がある、という視点です。

今日から試せる3つの工夫

工夫1:気持ちを書き出して整理する

モヤモヤした気持ちや怒り、不安を、日記やノート、スマートフォンのメモに書き出してみる方法です。書くことで頭の中が整理され、自分の状態を少し離れたところから眺めやすくなるといわれています。

「今日は何にイライラしたのか」「本当は相手にどうしてほしかったのか」を言葉にしておくと、衝動的に連絡先を消す前に、一呼吸置きやすくなることがあります。

工夫2:人との距離に「グレーゾーン」をつくる

完全に縁を切るか、無理に合わせて付き合い続けるか。この0か100かの二択になると、限界が来たときに一気にリセットするしかなくなってしまいます。

  • 「知り合い以上、友達未満」くらいの距離感があってよいと考えてみる
  • しばらく返信の頻度を落とす、会う回数を減らすなど、切らずに距離を調整する
  • 距離を置いたうえで、あらためて続けたい関係かどうかを様子を見て考える

すべての人と同じ深さで付き合わなくてよい、と考えられるようになると、限界まで我慢してから切る、という流れを避けやすくなります。

工夫3:SNSとの距離を調整する

つらくなったときにアカウントを削除してしまうと、あとから連絡を取りたくなっても戻せないことがあります。削除の前に、次のような方法を試してみてください。

  • 通知をオフにする
  • アプリを一時的に非表示にする、ログアウトしておく
  • 見る時間帯や時間の長さをあらかじめ決めておく
  • 数日から数週間、一度お休みしてみる

SNSから少し距離を置くことで、気持ちが落ち着きやすくなることがあるといわれています。消すのは、少し休んでからでも遅くありません。

背景にこころの不調が隠れていることもあります

リセットしたくなる気持ちの背景に、こころの不調が関わっている場合もあるとされています。

  • 気分の落ち込みが強く、人からの連絡そのものが負担に感じられている(うつ病などの可能性)
  • もともと対人関係で疲れやすく、その積み重ねから不調につながっている(発達障害の特性に伴う二次的な不調の可能性)

こうした場合は、考え方や工夫だけで抱えようとすると、かえって苦しくなることがあります。気分の落ち込みや不眠が続いている、仕事や学業に支障が出ているといったときは、一人で抱え込まず、精神科・心療内科などの専門機関にご相談ください。

適応障害うつ病発達障害については、それぞれのページもあわせてご覧ください。人前や対人場面での強い緊張については「人前で話すのがつらい|社会不安障害と「あがり症」の違い」もあわせてご覧ください。

よくある質問

人間関係リセット症候群は病気なのですか?

「人間関係リセット症候群」は医学的な診断名ではなく、近年SNSなどで使われるようになった言葉です。そのため、当てはまることがそのまま病気を意味するわけではありません。ただし、背景にうつ病や発達障害に伴う二次的な不調などが隠れている場合もあるとされています。落ち込みや不眠が続く、仕事や生活に支障が出ているといったときは、医療機関にご相談ください。

人間関係をリセットしたくなるのは、自分の性格が悪いからでしょうか?

性格の良し悪しの問題と決めつけられるものではないと考えられています。対人関係での衝突に対する強い不安、本音を相談できる相手がいない状況、完璧主義的な考え方、過去の経験からくる不安など、複数の背景が重なっていることが多いとされています。ご自身を責めるよりも、どんなときにリセットしたくなるのかを整理していくことが役立つことがあります。

一度リセットしてしまった関係は、元に戻したほうがよいのでしょうか?

必ず戻さなければならない、というものではありません。距離を置いたことで気持ちが落ち着く関係もあります。大切なのは、あとで後悔するかどうかをご自身で確かめられる状態にしておくことです。迷いが残る相手がいる場合は、無理のない範囲で連絡を取ってみる、という選択肢もあります。

受診を考える目安はありますか?

気分の落ち込みや不眠が続く、仕事や学業に支障が出ている、リセットを繰り返して孤独感やつらさが強いといった場合は、一人で抱え込まず専門の医療機関にご相談ください。受診は診断名をつけられる場ではなく、背景にある困りごとを整理し、必要な支援を一緒に考えるための場でもあります。

まとめ

  • 「人間関係リセット症候群」は医学的な診断名ではなく、人間関係を衝動的に断ち切ってしまう傾向を指す言葉として使われています
  • 背景には、対人関係への不安、孤独、ネガティブに考えやすい状態、完璧主義、見捨てられ不安などが重なっていることが多いと考えられています
  • 繰り返すうちに孤立や自己否定につながることがあり、対処のしかたを身につける機会も少なくなりやすいとされています
  • 気持ちを書き出す、距離にグレーゾーンをつくる、SNSとの距離を調整する、といった小さな工夫から試してみてください
  • 背景にこころの不調が関わっていることもあります。つらさが続くときは、専門機関へのご相談をご検討ください
ひびきくん
一度にすべてを変えなくて大丈夫。小さな工夫から始めてみてください。

人と距離を取りたくなる気持ちそのものを、否定する必要はありません。ただ、そのたびにご自身がつらくなっているのなら、その背景を一緒に整理していくことができます。困りごとが続くときは、当院でもご相談をお受けしています。初めての方は初めての方へ受診の流れのページもご覧ください。

気になる症状が続くときは、一人で抱え込まずご相談ください。

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