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愛着障害と発達障害はどう違う?大人の愛着4タイプと見分け方・合併することもある理由を精神科医と公認心理師が解説

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愛着障害と発達障害はどう違う?大人の愛着4タイプと見分け方・合併することもある理由を精神科医と公認心理師が解説
この記事でわかること

この記事は、当院のYouTube動画「【絶対に間違えないで!】発達障害と愛着障害は別の障害です。愛着障害4つのタイプと、発達障害との見分け方【精神科医と心理師が語る】【大人の愛着障害】【大人の発達障害】」の内容をもとに、読みものとして再構成したものです。ご自身やご家族を「愛着障害だ」と決めつけるためのものではありません。

愛着障害とは、幼少期に養育者など特定の大人との間で安定した結びつき(愛着)が育ちにくかったことを背景に、対人関係のとり方や感情の表し方に困りごとが生じている状態です。名前の響きは似ていますが、神経発達に関わる特性である発達障害とは、成り立ちの異なる別のものとして整理されています。

はじめにお伝えしたいこと この2つは表に現れる様子が重なって見えることがあり、行動の見た目だけで「どちらか」を決めることはできません。当てはまる項目を数えてラベルを貼るためではなく、困りごとの背景を理解するための記事としてお読みください。

ひびきくん
解説役の「ひびきくん」です。似ているようで違う2つの状態を、一緒に見ていきましょう。

この記事でわかること

  • 愛着障害と発達障害の違いがひと目でわかる早見表
  • 「愛着」の考え方と、子ども・大人で語られる4つのタイプ
  • 愛着障害の2つの状態、似て見える理由、見分け方と併存
  • セルフチェックと、受診・相談の目安

愛着障害と発達障害はどう違う?【早見表】

発達障害は神経発達に関わる特性、愛着の問題は養育者との関係性や環境など複数の要因が関係すると考えられています。

見る点愛着障害発達障害
成り立ち養育者との関係性や環境など複数の要因が関係するとされる神経発達に関わる特性とされる
挙げられる状態反応性愛着障害/脱抑制型対人交流障害ASD/ADHD/LD など
似て見える点感情を出しにくい/距離が近く衝動的感情表出が苦手(ASD)/衝動性(ADHD)
支援の方向人との関係を築き直すことが中心特性を前提に環境を調整することが中心

発達障害者支援法は発達障害を「脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義し、厚生労働省も生まれつきの脳機能の発達のかたよりによるものと説明しています。

そもそも「愛着」とは何ですか?

愛着とは、不安なときに「この人のそばにいれば安心できる」と感じられる、特定の相手との情緒的な結びつきのことです。

日常でも「このボールペンには愛着がある」と使いますが、心理学や精神医学では、子どもが不安を感じたときに「この人がいれば大丈夫」と思える基本的な信頼感を指します。100年ほど前にボウルビィが提唱した考え方で、生後3〜6か月ごろから見られるとされています。

子どもの愛着は、見慣れない環境で親と離れたとき・戻ったときの反応を見る「ストレンジシチュエーション法」から、次の4つに分けて語られてきました。

  • 安定型:親がいないと泣き、戻ってくると安心する
  • 回避型:親がいなくなっても表情が変わらず、戻っても関心を示しにくい
  • アンビバレント(両価)型:離れると泣くが、戻ると近づかない、逆に離れられなくなる
  • 無秩序・混乱型:反応に一貫性がなく、そのつど変わる

大人の愛着スタイルには、どんなタイプがありますか?

子どもと同じように、安定型・愛着軽視型・とらわれ型・恐れ型の4つに分けて考えられることがあるといわれています。

タイプ見られることがある傾向
安定型関係を築き続ける不安が低く、親密な関わりを無理に避けない
愛着軽視型拒否される不安は強くないが、自分から親密な関係を作らず孤立しやすい
とらわれ型親密さを強く求める一方、失う不安が強く、関係を保つことに頑張りすぎる
恐れ型本当は関わりたいが、近づくと不安になり、親密になりそうな場面で離れる

親子関係だけでなく、恋愛や職場での関係にも影響するのではないかとして注目されています。動画では恐れ型について、親密になりかけた相手に急に気持ちが冷める「蛙化現象」に近い面がある、と話しています。

愛着障害には、どのような症状やサインが見られますか?

診断基準では小児期に限って定義され、反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害の2つが挙げられています。

DSM-5やICD-10では小児期・児童期のものとされ、大人に診断がつくことは多くありません。ただし幼少期に大切な人との信頼関係が築きにくかった場合、愛着のかたちがいびつになることがあると考えられています。

反応性愛着障害(抑制された方向)

  • 恐怖心や警戒心が強い/喜びや悲しみを表に出しにくい
  • 自己評価が低く、人に頼れない/人の言葉に過敏に傷つきやすい
  • 警戒心の強さから、かえって攻撃的に見える言動をとることがある

脱抑制型対人交流障害(抑制がきかない方向)

  • 人との距離がとても近い/ボディタッチが多い
  • 落ち着きがない、反応が大げさになる

動画ではこの2つを「寂しさから反応しなくなるタイプ」と「べったりくっつきたくなるタイプ」と表現しています。

愛着障害と発達障害が似て見えるのはなぜですか?

表に現れる様子が重なるためで、反応性愛着障害はASD、脱抑制型対人交流障害はADHDと似て見えることがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の方も、気持ちを表に出すのが苦手だったり、一人で抱え込みやすかったりします。脱抑制型対人交流障害の「距離が近い」「落ち着かない」様子は、ADHD(注意欠如・多動症)の衝動性と重なって見えます。

ただし似ているのは表に出ている様子だけで、成り立ちは異なります。発達障害の特性については「発達障害(ASD・ADHD)の特性とは?」もご覧ください。

愛着障害と発達障害は、どうやって見分けるのですか?

その場の様子だけでは区別が難しく、成育歴を含む丁寧な問診と各種心理検査を組み合わせて総合的に判断します。

過去にさかのぼって当時の様子を見に行くことはできないため、その場の受け答えだけで区別するのは難しく、生活歴や関係の持ち方を含めて時間をかけて伺います。医師と公認心理師が視点を持ち寄り、生物・心理・社会の各側面から見ていきます。同じ親のもとで育っても困りごとが生じる人とそうでない人がいるのは、本人の受け取り方やその後の出会いなど、さまざまな要素が関わるためと考えられています。

見立てが変わると、支援のゴールも変わります。発達障害の特性がある方には「今のままでいい」という前提で環境を整える方向が考えられますが、同じ言葉を愛着の困りごとを抱える方に伝えると「見捨てられた」と受け取られることがあります。愛着では、人との関係を築くこと自体が支援の中心になります。なお両方が関わっている方もいらっしゃいます。

自分でできるセルフチェックはありますか?

診断はできませんが、人との距離のとり方や不安の出方を振り返る「気づきのきっかけ」にはなります。

  • 人と親しくなりかけると、理由もはっきりしないまま距離を取りたくなる
  • 見捨てられる不安が強く、関係を保つために無理をしてしまう
  • うれしい・悲しいという感情を、人に伝えるのが苦手だと感じる
  • 自分に自信が持てず、困っても人に頼れない
  • 初対面でも距離が近くなりすぎて、あとで後悔することがある
ひびきくん
あくまで「気づきのきっかけ」です。当てはまる数で診断が決まるものではありません。

愛着障害には、どのような対応や工夫がありますか?

愛着の形成には心理療法、自己評価の低さには認知行動療法、家族関係には家族療法などが用いられることがあります。

お薬は、これに伴って生じる抑うつ・不眠・不安などに対して対症療法的に用いられることがあります。自傷行為や「死にたい」という気持ちがあるときは、緊急性の高い状態として早めの対応が必要です。

お子さんの場合は、本人と保護者の方それぞれに担当がつき、並行して面接を行うことがあります。これは保護者の方ご自身の相談ではなく、「お子さんの親として」お話を伺う場です。

日常のなかでできる工夫

  • 安心できる関係を、少しずつ一つずつ増やしていく
  • 相手は親子に限らない。信頼できる先生や身近な人との間で育つこともある
  • 困った場面を短くメモしておき、相談のときに伝える
  • 睡眠や生活リズムを整え、不安が強まりやすい状態を減らす

愛着は小さい年齢のほうが形成しやすいといわれますが、大人になってから育たないわけではないと考えられています。

ひびきくん
大人になってからでも、安心できる関係は育てていけると考えられています。あせらず、できるところから。

どんなときに受診を考えればよいですか?

対人関係の困りごとで生活や仕事に支障が出ているとき、気分の落ち込みや不眠が続いているときが目安です。

「人との距離感がつかめない」「関係がいつも同じかたちでこじれる」という状態が続くときは、背景に何があるのかを一緒に整理するところから始められます。江東区・亀戸のひびきメンタルクリニックでは、発達障害の特性や対人関係の困りごとのご相談を承っています。受診の流れは「江東区・亀戸でADHD・発達障害のご相談」をご覧ください。

自傷行為や「消えてしまいたい」という気持ちがあるときは、早めにご相談ください。各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターや、厚生労働省が案内する相談窓口(「まもろうよ こころ」)も利用できます。

よくある質問

大人でも愛着障害と診断されますか?

DSM-5やICD-10では小児期・児童期のものとされ、大人に診断がつくことは多くありません。ただし大人の対人関係の困りごとを「愛着」の視点から理解することは、診療のなかで役に立つことがあります。

愛着障害と発達障害は併存することがありますか?

はい。成り立ちは別のものですが、両方が関わって困りごとが出ている方もいらっしゃいます。どの要素がどのくらい関わっているかを、診察のなかで整理します。

親の育て方が悪いと愛着障害になるのですか?

子育てが思うようにいかない時期は誰にでもあり、それがそのまま愛着障害につながるわけではないと考えられています。保護者の方が過度にプレッシャーを感じる必要はありません(虐待は別に考えるべき問題です)。

セルフチェックで自分がどちらか分かりますか?

表に現れる様子が重なるため、項目の数だけで区別することは難しいとされています。成育歴を含む丁寧な問診と各種心理検査を組み合わせ、医師が総合的に判断します。

まとめ

  • 愛着とは、不安なときに安心できると感じられる、特定の相手との情緒的な結びつきです
  • 診断基準に挙げられるのは反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害の2つで、いずれも小児期の定義です
  • 反応性愛着障害はASD、脱抑制型対人交流障害はADHDと似て見えますが、成り立ちは異なります
  • 別のものですが併存することはあり、見分けには丁寧な問診と各種心理検査を組み合わせます
  • 大人になってからでも愛着が育たないわけではないとされています
ひびきくん
一人で抱え込まないでくださいね。気になることがあれば、いつでもご相談ください。

「似ているから同じだろう」と考えてしまうと、必要な支援とずれてしまうことがあります。お気軽にご相談ください。

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気になる症状が続くときは、一人で抱え込まずご相談ください。

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